明日の朝、あの現場の型枠はどこまで組み上がっているのか。資材はもう入ったのか。確かめるためだけに車を出して往復1時間。建設業で現場を持つ人なら、誰しも身に覚えのある時間の使い方だと思います。現場に固定したカメラの映像を、事務所や移動中のスマートフォンからいつでも見られるようにする。これが定点カメラによる現場遠隔監視です。この記事では、定点カメラとは何かという基本から、ウェアラブルカメラやAIカメラとの違い、進捗の把握・記録の蓄積・夜間の見張りという三つの使いどころ、公表されている導入事例と数字、電源や通信といった現場ならではの選定条件、そして撮影にあたって欠かせない配慮までを、中小の建設会社の現場・事務担当者に向けて整理します。
定点カメラとは
定点カメラとは、決まった位置に据え付けて、同じ画角から現場を撮り続けるカメラのことです。工事現場では、仮囲いや電柱、仮設事務所の外壁、足場の一角などに取り付け、その映像をインターネット経由で離れた場所から見る使い方が中心になります。
名前のとおり「定点」であることに意味があります。人が手に持って動かすカメラは、そのとき見たいものを映せるかわりに、誰かがそこにいなければ何も映りません。定点カメラは逆で、映せる範囲は据えた場所から見える分だけに限られますが、誰もいない時間帯も含めてずっと映り続けます。この差が、現場の使い道をきれいに分けています。
役割は大きく三つに整理できます。ひとつは「いま見る」。事務所や車の中から、現在の現場の様子をそのまま確認する使い方です。ふたつめは「後から見返す」。録画された映像をさかのぼり、いつ何が搬入されたか、どの工程がどの日に終わったかを確かめる使い方です。みっつめは「人がいない時間を見張る」。夜間や休日、現場に誰もいない時間帯の出入りを記録する使い方です。導入を検討するときは、自社がこの三つのどれを一番求めているのかを先に決めておくと、機種選びで迷いません。
ウェアラブルカメラ・AIカメラとの違い
現場で使う映像の道具は増えました。混同しやすいのが、身につけて使うウェアラブルカメラと、映像を解析して危険を見つけるAIカメラです。どれも「カメラ」ですが、狙っているものが違います。
- 定点カメラ:固定して据え置く。現場の全景や特定の作業場所を継続して映す。進捗の把握、記録の蓄積、夜間の見張りに向く
- ウェアラブルカメラ:ヘルメットや胸に装着し、作業者の目線を離れた場所へ届ける。配筋の検査や材料確認のように、近づいて細かく見せたい場面に向く
- AIカメラ:映像をその場で解析し、重機への接近や保護具の未着用といった状態を自動で見つけて知らせる。安全の見張りに向く
実際の製品では境目が薄れつつあります。定点カメラに人や車を見分ける機能が載っていたり、クラウド側で映像を解析するサービスを後から足せたりするからです。それでも、選ぶときの出発点は「据えて撮り続けたいのか、持ち歩いて見せたいのか、自動で気づかせたいのか」を分けて考えるのが確実です。
一台で進捗も検査も安全も賄おうとすると、どれも中途半端になります。定点カメラは現場の全体像、ウェアラブルカメラは手元の細部、と担当を分けて考えたほうが、結果として必要な台数も費用も小さく収まります。実際、複数の種類を併用している会社は珍しくありません。
なぜいま現場の遠隔監視が広がったのか
背景にあるのは、移動そのものが業務時間を食い潰しているという事情です。国土交通省が令和5年3月に示した建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)でも、目指すものとして、受注者側の「段階確認に伴う手待ち時間の削減や確認書類の簡素化」と、発注者側の「現場臨場の削減による効率的な時間の活用」が挙げられています。行政の側から見ても、現場に足を運ぶこと自体が減らすべきコストとして位置づけられているわけです。
もうひとつは、機材が現場向けに追いついてきたことです。以前は回線工事と電源工事が前提でしたが、LTE通信を内蔵し、電源をつなぐだけで、あるいはソーラーパネルとバッテリーで動く製品が普通に選べるようになりました。工事を伴わずに置けるようになったことで、工期が数か月の現場にも見合う道具になったのが大きな転換点です。
定点カメラでできること
カタログを見ると機能が並びますが、現場の仕事に引き直すと、できることはおおむね次のとおりです。
- 現在の映像を見る:事務所のパソコンやスマートフォンから、いまの現場の様子をそのまま確認する。複数現場を並べて表示できるサービスも多い
- 録画をさかのぼる:数日から数十日ぶんの映像をクラウドに保存し、日時を指定して見返す。搬入の有無や作業の開始時刻を後から確かめられる
- タイムラプスを作る:長時間の映像を早送りにまとめ、基礎から躯体までの流れを数分の動画にする。施主説明や社内報告、採用向けの記録に使われる
- 画角を遠隔で動かす:パン・チルト・ズーム(PTZ)に対応した機種なら、据え付けた後でも手元の操作で見る方向を変えられる
- 広角で全景を押さえる:魚眼レンズや複数レンズで水平方向をまるごと映し、後から見たい方向を切り出す
- 人や車を検知して知らせる:夜間や休日に動きがあったときだけ通知を出す。録画を全部見る必要がなくなる
- 映像を共有する:閲覧用のリンクや権限を発行し、元請、施主、協力会社と同じ画面を見る
逆に、定点カメラだけでは難しいことも押さえておきましょう。据えた位置から見えない場所は映りませんし、室内の細かい仕上がりやボルトの締め具合を確認する用途には解像度が足りません。図面と映像を突き合わせて何がどこまで進んだかを自動で判定するには、別の仕組みが必要になります。
建設現場での使い方
実際にどの場面で効くのか、現場の一日と工期の流れに沿って見ていきます。
- 1
朝の段取りを決める前に見る
事務所を出る前や通勤の途中に映像を開き、資材が届いているか、前日の作業がどこまで終わったかを確かめます。到着してから段取りを組み直すのと、着く前に決めてしまうのとでは、その日の進み方が変わります。
- 2
巡回の順番と回数を決める
複数の現場を持っているとき、映像で一次確認を済ませてから、本当に行くべき現場を選びます。全部を等間隔で回るのではなく、気になったところへ行く形に変えるのが遠隔監視の使いどころです。
- 3
打合せの材料にする
週例や社内会議で、口頭の報告に映像を添えます。言葉だけでは伝わりにくい進み具合や、狭い敷地での資材の置き場所といった話が、画面を見れば一度で片づきます。
- 4
若手に遠隔で助言する
経験の浅い担当者が現場にいる状態で、事務所のベテランが同じ映像を見ながら電話で助言します。移動せずに指導の回数を増やせるので、育成の密度が上がります。
- 5
施主・元請へ状況を伝える
工程の節目に、映像やタイムラプスを添えて報告します。基礎や地中の配管のように、完成後は見えなくなる部分の記録は、後々の問い合わせにも効いてきます。
- 6
夜間・休日の出入りを記録する
作業のない時間帯に人や車の動きがあれば通知を受け取ります。資材の盗難だけでなく、無断立入や近隣とのトラブルの経緯を確かめる材料にもなります。
写真管理の側から入っている会社なら、電子黒板で工事写真の手間を減らすところから始め、そのうえで日々の進捗確認を定点カメラに寄せる、という順番も現実的です。どちらも狙いは同じで、現場に人が張り付かないと情報が動かない状態を崩すことにあります。
公表されている導入事例と数字
効果を語る前に、実際に公表されている取り組みを見ておきます。規模の大きい会社の例が中心ですが、どこに効くと考えられているかは規模を問わず参考になります。
大成建設は2025年1月27日のニュースリリースで、360度カメラで撮影した映像を画像認識AIで分析する「工事進捗確認システム」の本格運用を開始したと発表しています。現場に事前に貼った2次元コードマーカーを検出して撮影位置を自動で取得し、施工状況と資機材の保管場所を図面上に自動表示する仕組みで、16種類の工種と24種類の資機材を判別できるとされています。同社は試行の実績として撮影日数600日以上・撮影フロア数1,800階以上を挙げ、現場確認業務の時間を1日1人あたり1時間以上削減できたと説明しています。
360度カメラと画像認識AIによる工事進捗確認システムで削減できたとされる現場確認業務の時間
▲1時間/日・人以上
大成建設 ニュースリリース(2025年1月27日)
安全面での手応えを示した例もあります。セーフィーが公開している竹中工務店 広島支店の導入事例では、固定型のクラウドカメラとウェアラブルカメラを併用した運用が紹介されており、4か月のトライアル期間中にカウントされたリスク回避の件数は約500件と述べられています。あわせて「管理密度がぐっと濃くなった」という支店長の言葉や、遠隔でベテランが直接指導することで若手の成長が早まったという管理部長の声も紹介されています。
クラウドカメラのトライアル期間中にカウントされたリスク回避の件数(竹中工務店 広島支店)
約500件/4か月
セーフィー 導入事例
全社の標準として据える動きも出ています。BUILT(ITmedia)の記事によれば、セーフィーが2024年2月1日に提供を始めた屋外向けクラウドカメラ「Safie GO 360」は、アイダ設計と清水建設の協力による現場実証を経て商品化されたもので、アイダ設計は約30台の導入を計画していると報じられています。セーフィー自身のニュースでも、水平視野角182度・垂直視野角182度の魚眼レンズ、LTE内蔵、IP66の防水防塵といった仕様が示されており、屋外の現場に置くことを前提に作られていることがわかります。
住宅の分野では、大和ハウス工業が2022年2月17日に、全ての戸建住宅工事現場へWEBカメラを導入すると発表しています。建設ITブログの記事によれば、これに先立つ2020年10月から2021年12月までの試験運用は延べ3,400棟で行われ、現場監督の業務効率が約15%向上し、長時間労働の抑制につながったとされています。同社は全国12か所にスマートコントロールセンターを設け、複数現場の映像をまとめて管理する体制を取っているとも紹介されています。
戸建住宅現場へのWEBカメラ導入試験運用(延べ3,400棟)で報告された現場監督の業務効率向上
約15%
建設ITブログ/大和ハウス工業 ニュースリリース
ここに挙げた数値は、いずれも各社の現場条件と運用の下で報告されたものです。現場数、工期、担当者一人あたりの持ち現場数が違えば、効果の出方も変わります。参考にすべきは数字そのものより、「移動の一次確認を映像に置き換える」「記録を探す手間を減らす」という効き方のほうです。
遠隔臨場との関係を整理する
公共工事に関わる方は、遠隔臨場との違いも押さえておく必要があります。国土交通省の実施要領(案)では、遠隔臨場は動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)で取得した映像と音声を使い、Web会議システム等を介して段階確認・材料確認・立会を行うことと説明されています。つまり、発注者の確認行為を映像で代替する手続きであり、日常の進捗を眺める用途とは別物です。
同要領の参考資料には、動画撮影用カメラの参考数値として画素数640×480以上・フレームレート15fps以上、Web会議システムについては通信回線速度が下り最大50Mbps・上り最大5Mbps以上という目安が示されています。定点カメラの映像がこの条件と運用に合うかは、工事ごとの仕様と監督職員との協議によります。据えたカメラで立会まで済ませられると早合点せず、施工計画書の段階で確認しておくのが安全です。
定点カメラは日々の段取りと記録のため、遠隔臨場は発注者との確認手続きのため。狙いが違うので、片方を入れたからもう片方が不要になるということはありません。公共工事では、定点カメラで日常を押さえ、段階確認の場面ではウェアラブルカメラを使うという組み合わせが素直です。
機材選びで見るべきところ
現場に置く機材なので、画質の良し悪しよりも、置けるかどうか・動かせるかどうかで決まる部分が大きくなります。見積もりを比べるときは、次の点を同じ条件で聞くと差がわかります。
- 電源:仮設電源から取れるか、バッテリーやソーラーで自立させるか。仮設電源は工程によって位置が変わることを見込んでおく
- 通信:現場に回線が引けるか、LTEなどのモバイル通信を使うか。山間部や地下では電波状況を事前に確かめる
- 画角:固定か、180度・360度の広角か、遠隔で向きを変えられるPTZか。据えた後に見たい方向が変わることは頻繁に起きる
- 耐候性:防水防塵の等級、動作温度の範囲。屋外に半年置く前提で見る
- 取り付けと移設:仮囲いや単管に固定できるか。足場が解体されれば取り付け先も消えるため、移設のしやすさが運用を左右する
- 録画の保存期間:何日ぶん残るか、延ばす場合の料金はいくらか。振り返りたい期間より短ければ意味がない
- 閲覧の権限:誰がどの現場を見られるか、元請や施主に一時的な閲覧権を渡せるか
- 料金の形:買い取りか月額レンタルか。工期の長さと現場数で総額が変わる
配線工事のいらない製品は増えています。DXアンテナが2025年12月19日に発売したLTEパンチルトカメラ(ソーラー電池式)は、ソーラーパネルと内蔵バッテリーで商用電源のない場所にも設置でき、LTE通信に対応するためネットワーク配線工事が不要で、設置後も遠隔から画角を調整できると説明されています。人や車を特定して検出する機能も備えるとされており、電源も回線も引きにくい現場をどう埋めるかという課題に、機材の側が答えを出してきていることがわかります。
設置した瞬間はよく見えていても、資材が積み上がる、仮囲いが移る、隣に建物が建つといった変化で、見たいところが隠れることがあります。据え付けの高さと向きは、工期の後半に何を見たいかまで想像して決めてください。PTZ対応か、脚立で届く高さかどうかは、この観点で効いてきます。
防犯としての使い道と限界
資材の盗難対策としてカメラを検討する会社も多くあります。警察庁の金属盗対策に関する検討会が令和7年1月にまとめた報告書によれば、金属価格の高騰などを背景に金属盗の認知件数は統計を取り始めた令和2年以降、増加傾向にあるとされています。令和5年に発生した金属盗の被害総額は約132億8,700万円で、これは同年の窃盗犯全体の被害額の約2割に相当します。材質別では銅の被害が約97億7,900万円で全体の約7割を占め、被害品の半数以上は金属ケーブルでした。
令和5年に発生した金属盗の被害総額。同年の窃盗犯全体の被害額の約2割に相当する
約132億8,700万円
警察庁 金属盗対策に関する検討会 報告書(令和7年1月)
この報告書が主に扱っているのは太陽光発電施設などを含む金属盗全般ですが、銅線や金属製品を扱う工事現場や資材置場も、換金しやすい物がまとまって置かれる場所であることに変わりはありません。ただし、カメラは盗まれることそのものを止める道具ではない点は正直に見ておく必要があります。効くのは、映っていると分かることによる抑止と、起きた後に経緯を確かめる手がかりの二つです。施錠や整理整頓、照明といった物理的な対策と組み合わせて初めて意味を持ちます。
メリットと注意点
定点カメラがいちばん効くのは、現場に行って初めて状況が分かるという状態をなくすところです。行く前に映像で確かめられれば、空振りの往復が減り、行くべき現場に時間を寄せられます。複数現場を掛け持ちしている担当者ほど、効果が体感しやすくなります。
画角の外、資材の陰、夜間の暗さ、雨やレンズの汚れ。映像には必ず抜けがあります。映像で確認したから現場を見た、という扱いを重ねると、実際に足を運んで初めて気づく類の異変を取りこぼします。頻度は減らせても、行かなくてよくなるわけではないと考えてください。
映像データの扱いも忘れずに。クラウド型のサービスを使うなら、保存場所、保存期間、閲覧できる人の範囲、解約後にデータがどうなるかを契約前に確かめておきます。現場の映像には施主の敷地や建物の内部が写ることもあるため、この観点は情報漏洩対策の考え方と地続きです。
撮られる側への配慮も欠かせません。総務省・経済産業省とIoT推進コンソーシアムのカメラ画像利活用ガイドブックでは、撮影と利活用を始める前に十分な時間的余裕をもって事前告知を行い、撮影場所での掲示やウェブサイトでの公表などによって、撮影場所や利用目的を知る機会を増やすことが望ましいとされています。建設現場に当てはめれば、入場ゲートや詰所への掲示、新規入場者教育での説明、協力会社への事前周知が現実的な手立てです。何も言わずにカメラだけ増やすと、見張られているという受け止めが先に立ち、現場の協力が得られなくなります。
小さく始めるための進め方
カメラは置くだけなら簡単ですが、置いただけでは誰も見ないまま終わります。次の順番で進めると、続けるかどうかの判断がしやすくなります。
- 1
何のために見たいのかを一つに決める
進捗の把握か、記録の蓄積か、夜間の見張りか。狙いによって必要な画角も保存期間も変わります。全部と答えたくなるところですが、最初は一つに絞ってください。
- 2
現場を一つ選んで一台から試す
工期が数か月あり、事務所から遠く、担当者が足を運ぶ回数が多い現場が向いています。まず一台。台数を増やすのは、見る習慣がついてからで間に合います。
- 3
電源と電波を先に確かめる
設置予定の場所で実際にスマートフォンの電波が入るか、仮設電源をどこから取れるかを確認します。ここでつまずくと、機材が届いてから慌てることになります。
- 4
誰がいつ見るかを決める
朝の出発前に担当者が見る、週例の前に所長が見る、というように時刻と担当を決めます。決めないと、最初の一週間だけ盛り上がって、あとは誰も開かなくなります。
- 5
撮影のルールを一枚にまとめて周知する
目的、映る範囲、保存期間、閲覧できる人、使わない用途を書いて詰所に掲示し、新規入場者教育で説明します。協力会社にも同じ内容を先に渡しておきます。
- 6
訪問回数と確認にかかる時間で効果を見る
導入前後で、その現場への訪問回数と、状況確認にかけた時間を数えます。感覚ではなく数字で比べれば、他の現場へ広げるかどうかを社内で説明しやすくなります。
この「一現場・一台で試し、指標を決めてから広げる」進め方は、PoC(概念実証)の基本そのものです。月額のレンタルなら止めるのも簡単なので、迷っているなら一台借りて一つの現場で三か月試すのが、いちばん早い判断材料になります。
よくある質問
Q電源も回線もない現場に置けますか?+
置ける製品があります。ソーラーパネルと内蔵バッテリーで動き、LTEなどのモバイル通信でクラウドへつながるタイプなら、電源工事もネットワーク配線工事もせずに設置できます。ただし条件はあります。ソーラーは日当たり次第なので、北側の日陰や仮囲いの内側だと発電が足りないことがあります。モバイル通信も、山間部やビルの谷間では電波が届かない場合があります。設置予定の場所でスマートフォンの電波状況を確かめ、パネルを別置きできる製品かどうかを見ておくと失敗が減ります。
Q費用はどれくらいかかりますか?+
構成によって幅が大きく、一律の相場を示すのは難しいのが正直なところです。比較するときは、機材費(買い取りかレンタルか)、通信費、クラウドの録画保存料、設置と移設の手間の四つに分けて見積もると差がわかります。工期が短く現場数が多い会社は月額レンタルが向き、長期の現場が中心なら買い取りが有利になることもあります。同じ台数・同じ保存期間の条件を示して複数社から見積もりを取り、総額で比べてください。
Q作業員を撮影することに問題はありませんか?+
目的と範囲を事前に周知し、映像の取り扱いを決めたうえで運用するのが基本です。カメラ画像利活用ガイドブックでも、撮影を始める前に十分な余裕をもって告知し、掲示などで撮影場所や利用目的を知る機会を設けることが望ましいとされています。建設現場では、入場ゲートや詰所への掲示、新規入場者教育での説明、協力会社への事前共有が現実的です。誰が閲覧できるのか、保存期間はどれくらいか、勤怠や人事評価には使わないことを文書で明確にしてください。個人情報の取り扱いに関わるため、社内規程に落とし込む際は管理部門や専門家に相談したうえで整えることをおすすめします。
Q定点カメラがあれば現場に行かなくてよくなりますか?+
行く回数は減らせますが、行かなくてよくなるわけではありません。映像で分かるのは、映っている範囲で起きていることだけです。仕上がりの精度、においや音、資材の状態、職人同士のやり取りといった、その場に立たなければ分からないものは残ります。実務としては、映像で一次確認をして行くべき現場を選び、行ったときは映像で確かめられない部分に時間を使う、という配分に変えるのが現実的な使い方です。
Q遠隔臨場の立会にも使えますか?+
工事ごとの仕様と監督職員との協議によります。国土交通省の実施要領(案)では、遠隔臨場は動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)で取得した映像・音声を用いて段階確認・材料確認・立会を行うものと説明されており、参考数値として画素数640×480以上、フレームレート15fps以上といった目安が示されています。据え付けた定点カメラでこれを満たせるかは対象の作業と画角によって変わるため、施工計画書を作る段階で発注者側に確認してください。日常の進捗把握と、発注者の確認行為は別物だと考えておくのが安全です。
Q小さな会社でも導入できますか?+
できます。むしろ、担当者が少なく一人で複数現場を回している会社ほど、移動を減らす効果は大きく出ます。月額のレンタルで一台から始められるサービスがあるので、大きな設備投資は必要ありません。判断の分かれ目は会社の規模ではなく、「行かないと分からない」ために往復している現場が実際にあるかどうかです。直近三か月の移動を思い返して、様子を見に行っただけの往復が月に何回あったかを数えてみると、費用に見合うかどうかの見当がつきます。
どこから手をつけるか迷ったら
定点カメラは、人を増やさずに現場を見る回数を増やすための、手の届きやすい道具です。ただし成果を分けるのは機種の性能ではなく、「何を見たいのか」「誰がいつ見るのか」「現場にどう説明するのか」という運用の設計のほうです。AI番頭では、移動の棚おろしから機材と料金の比較、撮影ルールの整備、そして貯まった映像や記録を日報・写真管理につなげるところまでを一緒に組み立てています。支援の内容はサービス紹介をご覧ください。「うちの現場に電波が入るか」「一台いくらから始められるか」といった段階のご相談も、無料診断・お問い合わせから承っています。
関連用語
ウェアラブルカメラとは
身につけて作業者の目線を届けるカメラ。遠隔臨場の中心的な道具で、定点カメラとは役割が分かれます。
詳しく見る →AIカメラ(現場安全)とは
映像をその場で解析し、重機への接近や保護具の未着用を自動で見つける仕組みを解説します。
詳しく見る →画像認識AIとは
カメラ映像から工種や資機材を判別する技術。進捗確認の自動化を支える土台になります。
詳しく見る →電子黒板とは
工事写真の小黒板をアプリ化する仕組み。現場の記録を軽くする、もう一つの入口です。
詳しく見る →情報漏洩対策とは
現場の映像をクラウドに預けるとき、契約前に確かめておきたい項目をまとめました。
詳しく見る →建設DXとは
移動と記録の省人化が、業界全体の流れの中でどこに位置づけられるのかを整理しています。
詳しく見る →出典・参考
大成建設 ニュースリリース「360度カメラ画像とAIを用いた『工事進捗確認システム』の本格運用開始」(2025年1月27日)
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/250127_10305.html
出典を開く →セーフィー 導入事例「クラウドカメラで現場の死角をカバー。安全性が向上し、移動時間削減や若手育成にも寄与」(竹中工務店 広島支店)
https://safie.jp/casestudy/takenaka-2/
出典を開く →セーフィー ニュース「360°死角なし!屋外向けクラウドカメラ『Safie GO 360』提供開始」
https://safie.co.jp/news/3033/
出典を開く →BUILT(ITmedia)「清水建設とアイダ設計が全社標準で導入、1台で現場全景を遠隔巡視するカメラ『Safie GO 360』」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2402/14/news095.html
出典を開く →大和ハウス工業 ニュースリリース「全ての戸建住宅工事現場にWEBカメラを導入します」(2022年2月17日)
https://www.daiwahouse.com/about/release/house/20220217132214.html
出典を開く →建設ITブログ「大和ハウスが全戸建て住宅現場にWEBカメラ設置! AIとテレワーク現場監督で移動のムダ削減」
https://ken-it.world/it/2022/02/telework-supervisor.html
出典を開く →国土交通省 大臣官房技術調査課「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)」令和5年3月
https://www.mlit.go.jp/tec/content/001594449.pdf
出典を開く →警察庁「金属盗対策に関する検討会 報告書」令和7年1月
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/scrap/report.pdf
出典を開く →総務省・経済産業省・IoT推進コンソーシアム「カメラ画像利活用ガイドブック ver3.0」
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/01_CameraGuideBook_ver3.0.pdf
出典を開く →DXアンテナ ニュース「建設・工事現場のセキュリティと遠隔管理をスマートに実現『LTEパンチルトカメラ[ソーラー電池式]』新発売」
https://www.dxantenna.co.jp/news/cne3cpfl1_press/
出典を開く →