設備更新の見積を出すために、同じ建物へ何度も足を運んで寸法を拾っている。改修の話が来たが図面が残っておらず、天井裏に何が通っているのか分からない。造成の出来形を、二人がかりで巻尺とレベルを当てて測っている。こうした場面で名前が挙がるのが3Dスキャナです。ただ、カタログには「毎秒100万点」「±2mm」といった数字が並ぶばかりで、自社の仕事にどれが要るのかは分かりにくいものです。この記事では、3Dスキャナとはどんな機械なのかという基本から、距離の測り方の違い、据置型とハンディ型の使い分け、建設現場での具体的な使い道、公共工事で求められる性能の条件、価格の目安、そして買う・借りる・外注するの判断までを、中小の建設会社の目線で順にまとめます。
3Dスキャナとは
3Dスキャナとは、レーザーや光を当てて物や空間の表面の形を非接触で読み取り、3次元の座標データとして記録する機器のことです。建設や測量で使われるレーザー式のものは3Dレーザースキャナとも呼ばれます。巻尺やトータルステーションが「測りたい一点を狙って測る」道具なのに対し、3Dスキャナは視界に入る面をまるごと拾う道具だと考えると違いがつかみやすくなります。
国土交通省の「地上型レーザースキャナーを用いた出来形管理要領(土工編)(案)」では、地上型レーザースキャナー(TLS)を、1台の機械で指定した範囲にレーザーを連続的に照射し、その反射波より対象物との相対位置(角度と距離)を面的に取得できる装置、と定義しています。同要領はまた、トータルステーションのようにターゲットを照準して計測を行わないため、特定の変化点や位置を選択して計測することができない場合が多い、とも説明しています。
スキャンして出てくる成果物は、座標を持った無数の点の集まり、すなわち点群データです。つまり3Dスキャナは点群を作るための機械であり、点群をどう使うかは別の話になります。機器の話と、データの話と、データを図面やモデルに起こす話は、それぞれ切り分けて考えてください。
- 測る対象を狙わない … 範囲を指定して面で取るため、「この隅の高さだけ」といったピンポイントの計測は苦手。同要領も、計測箇所をピンポイントに計測できない点を留意点として挙げている。
- 点の間隔が均一にならない … 機器に近い場所は密に、遠い場所は粗になる。取得データの計測密度にばらつきがある、というのが同要領の指摘。
- 準備と計測が速い … 同要領は優位性として、計測の準備作業が軽減でき、計測時間も短いために測量作業が大幅に効率化する点を挙げている。
- 後から何度でも読み出せる … 面で取ってあるので、3次元CADで処理すれば鳥瞰図や縦断図・横断図など、必要なデータを後から抽出できる。
3Dスキャナは「現場の形を持ち帰る機械」です。測るべき寸法をその場で決めて記録する従来の測り方に対し、形そのものを丸ごと持ち帰って、事務所で好きなだけ測り直す。この順序の入れ替わりが、現地調査の回数や人数に効いてきます。
3Dスキャナの仕組み
やっていることは単純で、レーザーの向き(角度)と、そこまでの距離を測っているだけです。この二つが分かれば、機器を原点とした座標が一点決まります。あとは鏡や本体を高速に回転させて向きを変えながら繰り返し、面として拾っていきます。違いが出るのは距離の測り方です。クモノスコーポレーションの解説では、非接触式の測定方式として次のようなものが挙げられています。
- タイム・オブ・フライト(TOF)方式 … 発射したレーザが反射して帰ってくる時間で対象物までの距離を計測する方式。遠くまで届かせやすく、屋外や広い構造物と相性がよい。
- フェーズシフト方式 … 複数に変調させたレーザ光を発射し、反射して帰ってきた拡散反射成分の位相差により対象物までの距離を計測する方式。中近距離を速く細かく取るのに向く。
- 光投影法 … 不可視光(赤外線)を投影して計測する方式。
- レーザー切断方式 … 可視光(ブルー・グリーンなど)を投影して計測する方式。小さな部材を細かく測る用途で使われる。
- 写真から復元する方式 … レーザーを使わず、重ねて撮った大量の写真のずれから形を起こすSfMという手法。機材は手に入りやすいが、暗所や無地の面は苦手。
もう一つ、色の扱いも押さえておくと選定が楽になります。国土交通省の要領では、デジタルカメラを併用することにより計測時に撮影した写真から点群に色データを付与でき、点に色が付くことで計測対象物を目視により識別することが可能となり、点群処理時の不要点排除などの判断に有効である、と説明されています。色が付くかどうかは見栄えの問題ではなく、後処理の手間に直結する仕様です。
3Dスキャナの種類と選び方
建設で使われる3Dスキャナは、どう持ち運ぶかでおおまかに分かれます。測る範囲の広さと、求める精度と、現場の入り組み具合で選ぶことになります。
- 据置型(地上型レーザースキャナー・TLS) … 三脚に据えて周囲を面的に測る本命。精度が高く、公共工事の要領でも前提とされている。据えた位置から見えない裏側は測れないので、位置を変えて複数回測る。
- ハンディ型・バックパック型(SLAMを使う移動計測) … 持って歩くだけで周囲を取る方式。自己位置推定と地図作成を同時に行うSLAMという技術を使う。据置型より精度は落ちるが、狭い場所や入り組んだ屋内に強い。
- 車載型(MMS) … 車に載せて走りながら道路と周辺を取る方式。長い延長を一度に押さえたいときに使う。
- スマートフォン・タブレットのLiDAR … 一室や一部材をざっと押さえる用途。手軽さが最大の利点で、社内検討用の現況把握には十分役立つ。
- 卓上型・工業用ハンディ … 部材や製品そのものを高精度に測る用途。建築というより製造や加工の領域で使われる。
据置型とハンディ型がどれくらい違うのかは、実測の報告があります。建設コンサルタンツ協会の業務・研究発表会で四電技術コンサルタントが報告した事例では、SLAMを使うモバイル3DスキャナZEB-HORIZONで、道路沿いを片道220m、時速2kmで歩いて往復1ループ13分で計測したとされています。同報告は、この範囲を地上型レーザスキャナで計測すると5か所程度切り回す必要があり、時間も1時間程度は必要となる、と述べています。屋内でも、ビルのエントランス部と階段部4階までを1ループ6分で計測したと報告されています。
道路沿い片道220mの区間を、歩行式のモバイル3Dスキャナは往復1ループ13分で計測。同じ範囲を地上型レーザスキャナで測る場合は5か所程度の切り回しと約1時間が必要と報告されている
13分 対 約1時間
建設コンサルタンツ協会 業務・研究発表会 報告(四電技術コンサルタント)
ただし速さと引き換えに落ちるものがあります。同報告によれば、使用したモバイル3Dスキャナは公称精度3cm、点群記録速度は30万点/秒で、地上型レーザーの100万点/秒に比べ低密度とされています。屋内の検証では4つの検証点で誤差が3cm以内に収まった一方、地上型レーザスキャナ(Trimble TX8)の誤差は2mm程度と記されています。桁が一つ違うと考えてよく、どちらが上という話ではなく用途が別だということです。
cm単位で足りる仕事に、mm単位の機械と手間をかける必要はありません。逆に、検査の根拠にする計測を歩きながら済ませることもできません。改修前の現況把握や搬入経路の確認ならcm単位で用が足りることが多く、出来形管理や部材の据付検査ならmm単位が要ります。まず「何mmずれたら困るのか」を先に決めてください。
建設現場での3Dスキャナの使い方
3Dスキャナがいちばん効くのは、図面がない、あるいは図面と現物が食い違っている場面です。空調設備工事の東洋熱工業は、ライカジオシステムズの公開事例で、従来は現地調査から図面作成まで20回も30回も人が足を運び、現況図作成だけで数カ月かかっていたと述べています。4人がかりでも2カ月以上を要する案件もあったとされる作業が、BLK360を導入した後には1週間から10日で完了した案件があり、作業時間75%短縮を達成したと紹介されています。
空調設備工事会社の現況図作成。従来は20〜30回の現地訪問と数カ月、4人で2カ月以上かかる案件もあったものが、3Dスキャナ導入後は1週間から10日で完了した案件も
作業時間 75%短縮
ライカジオシステムズ 導入事例(東洋熱工業株式会社)
同事例では、使用した機器について高さ20cmしかない天井裏でも計測可能で重量わずか1kgという点が評価され、実際にカタログ値を上回る精度が確認できたとも述べられています。人が入れない場所に機械だけを差し入れて形を取る、という使い方ができるのは、非接触で測る道具ならではです。
- 改修・設備更新の現況調査 … 竣工図がない建物をまるごと取り込み、寸法の根拠にする。搬入経路の確認や納まり検討まで事務所で完結できる。
- 出来形計測・出来高把握 … 土工や舗装の仕上がりを面で取り、3次元設計データとの離れを評価する。日々の自主管理にも使える。
- 起工測量と土量の算定 … 着工前の地形を面で押さえ、設計面や施工後との差から数量を出す。
- 狭い場所・危険な場所の計測 … 天井裏、法面、稼働中の設備まわりなど、人が近づきにくい場所を離れた位置から測る。
- 既存構造物と新設計画の突き合わせ … スキャンした現況に新設のモデルを重ね、着工前にぶつかりを見つける。
- 施主や近隣への説明 … 立体で見せられるため、図面を読み慣れない相手にも現況と計画が伝わりやすい。
既存の形と新しい計画を重ねる使い方は、モデル上でぶつかりを先に潰す干渉チェックとそのまま地続きです。取り込んだ3次元データを設計から維持管理まで一貫して使う流れはBIM/CIMの考え方につながります。スキャナを「測量の道具」とだけ捉えると、投資の回収先を見誤ります。
公共工事で3Dスキャナを使うときの条件
「この機械で測ったデータは検査に通るのか」という疑問は、国土交通省の要領を読むと具体的な数字で整理できます。同要領(土工編・案)は、出来形管理に使うTLS本体について、測定範囲内で精度±20mm以内であること、そして色データの取得が可能なことを性能基準として示しています。
出来形管理に用いる地上型レーザースキャナー本体に求められる測定精度。あわせて色データの取得が可能なことが性能基準として示されている
測定範囲内で ±20mm 以内
国土交通省 地上型レーザースキャナーを用いた出来形管理要領(土工編)(案)
確かめ方も決まっています。同要領によれば、日本測量機器工業会規格のJSIMA115に基づく試験成績表で座標測定精度が14mm以内であることを確認し、その成績表を監督職員に提出する方法があります。それによれない場合は、実際に使う機器の計測最大距離以上の範囲に既知点を2箇所(10m以上離れた箇所)以上配置し、既知点の距離とTLSによる計測結果から求められる点間距離との差が±20mm以内であるかを確認する、とされています。この事前確認は、出来形計測の実施前6ヶ月以内に実施した結果であれば認められる扱いです。加えて、メーカが推奨する期間内の点検記録や校正証明書など、精度管理が適正であることを示す書類も求められます。
見落とされがちなのが、機器そのものではなく現場側の下ごしらえです。同要領では、TLSで計測した相対形状を3次元座標に変換するために標定点を使い、その基礎となる工事基準点は現場内に4級基準点または3級水準点と同等以上として設置した精度管理が重要である、とされています。標定点をトータルステーションで測る際の距離にも制限があり、3級TSを利用する場合は100m以内(2級TSは150m)と定められています。
求められる精度は用途によって段階があります。同要領では、着工前の起工測量は測定精度10cm以内かつ計測密度0.25平方メートル(50cm×50cmメッシュ)あたり1点以上、出来高部分払いのための簡便な出来高計測は測定精度20cm以内としたうえで、その場合の算出結果は算出値の9割を上限に計上してもよい、という考え方が示されています。「同じスキャナでも、使う目的によって要求水準が違う」ということです。
国土地理院は「LidarSLAM技術を用いた公共測量マニュアル」を公表し、手持ち型や装着型のレーザスキャナで歩きながら計測する技術について、比較的狭い範囲を対象とした測量での利用が期待されるとしたうえで、機器ごとに性能が異なるため測量に使用する前に精度・性能の試験を行うこととしています。一方、四電技術コンサルタントの報告(令和元年度)は、SLAMを用いた計測手法は公共測量作業規程に明確な手法精度等が明示されていないと記していました。制度の側は動いている最中ですので、公共工事で使う場合は、該当する要領の最新版と発注者の指示を必ず突き合わせ、判断に迷う点は監督職員や測量の専門業者に確認してください。
3Dスキャナの価格と、買う・借りる・外注する
価格はタイプによって幅があります。クモノスコーポレーションの解説では、ハンディタイプが10〜500万円、デスクトップタイプが10〜300万円、業務用・工業用が300〜1,000万円以上という価格帯が示されています。建設の現況調査や出来形計測で使う据置型は、この業務用・工業用の帯に入ってくると考えておくのが現実的です。
業務用・工業用3Dレーザースキャナの価格帯の目安。ハンディタイプは10〜500万円、デスクトップタイプは10〜300万円とされている
300〜1,000万円以上
クモノスコーポレーション 3Dレーザースキャナの価格相場
気をつけたいのは、本体価格が総額ではないことです。同解説では、本体以外にかかるものとして、設置費用や研修といった導入費用、ソフトウェアのライセンス、ターゲットステッカーや反射スプレーなどの消耗品、定期的な点検やメンテナンス、問い合わせなどのサービスを受けられる保守・サポート費用が挙げられています。ここに、点群を扱えるパソコンと、担当者が慣れるまでの時間が加わります。
だからこそ、いきなり買うのは勧めません。次の一件だけレンタルか外注で試し、従来のやり方と並べて比べる。この小さく試して確かめる進め方はPoC(概念実証)と呼ばれ、機材を持て余す失敗を避けるための定石になっています。年に数回しか出番がないなら外注、毎月の管理や検査に組み込むなら内製化の検討、というのが素直な線引きです。
メリットと注意点
現地に行く回数と人数が減ります。ポールとスタッフで行う横断測量が複数人必要なのに対し、歩行式のスキャナなら一人で作業が行えると報告されています。測り忘れがほぼなくなるのも大きく、後から「あの梁下は」と聞かれても現場に戻らず答えが出せます。人が近づけない場所や、止められない設備のまわりも離れた位置から測れます。
レーザーは光ですから、機器から見えない裏側や物陰には点が入りません。据え位置を変えて何度も測って埋めることになり、その回数だけ手間が増えます。国土交通省の要領も、レーザーの入射角が小さくなると計測精度が低下し、計測距離が遠くなることによっても計測精度の低下を招く恐れがあると注意しています。斜めから薄く当てるほど不利になる、と覚えておくと据え位置の判断が楽になります。ガラスや水面のような反射する対象も苦手です。
実務でいちばん効いてくるのは、計測そのものではなく後始末です。四電技術コンサルタントの報告では、1ショット20分程度で8ギガバイト(内7ギガバイトが動画ファイル)の生データが取得でき、LAS形式の点群で6ギガバイトになるとされています。同報告は、現地作業の動員人数が少なくなる一方で内業(後処理)に時間を要するようになった一面もあると率直に述べ、データサイズが大きいために保存場所やデータのやりとり、バックアップなどのファイル管理が早急に解決しなければならない課題だとしています。置き場所と命名規則は、機材を選ぶより先に決めておいてください。関係者が同じ場所でデータを受け渡す考え方はCDE(共通データ環境)として整理されています。
歩行式モバイル3Dスキャナの1ショットあたりの生データ量。うち約7GBが動画ファイルで、LAS形式の点群としては約6GBになると報告されている
20分の計測で約8GB
建設コンサルタンツ協会 業務・研究発表会 報告(四電技術コンサルタント)
機械は買ったが、点群を開けるパソコンがなく現場から戻ったデータが動かない。外注してデータは届いたが、図面やモデルへの起こしが契約に含まれておらず設計に使えない。標定点を置かずに測ってしまい、現場の座標系に載せられない。検査に出す段になって、精度確認試験の記録がないと言われる。いずれも機器の性能ではなく、前後の段取りで起きています。
導入の進め方
- 1
困っている場面を一つ選ぶ
改修の現況調査なのか、出来形の計測なのか、狭い場所の把握なのか。用途によって必要な精度も機種もまったく変わります。「3Dスキャナを入れる」ではなく「あの調査の往復をなくす」と決めるところから始めます。
- 2
許される誤差を決める
何mmずれたら仕事にならないのかを先に言葉にします。社内検討用ならcm単位で足りることが多く、公共工事の出来形管理なら要領が定める水準を満たす必要があります。ここが決まると候補は一気に絞れます。
- 3
一件だけ外注かレンタルで試す
実際の現場を一件、従来のやり方と並行させて測ってみます。比べる物差しは計測にかかった時間ではなく、使える成果が手元に出るまでの日数です。後処理のほうが時間を食うためです。
- 4
受け取り方と置き場所を決める
点群のままもらうのか、図面やモデルまで起こしてもらうのかを契約前にはっきりさせます。あわせて保存先とファイル名の付け方、社内で誰が開けるのかを決めておきます。ここを飛ばすと、数百ギガバイトの行方不明データが残ります。
- 5
回収できる仕事量か確かめる
本体だけでなく、ソフトのライセンス、処理用のパソコン、点検や校正、人の習熟までを含めた総額と、年間に何件その作業が発生するかを並べます。年に数回なら外注のままが得です。
AI番頭では、こうした現場データの取り回しや、そこから先の書類づくり・事務作業の自動化まで含めて、中小の建設会社が無理なく始められる形を一緒に考えています。何から手をつけるべきか整理したい方はサービス内容をご覧いただくか、お問い合わせからお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q3Dスキャナで測れば図面はいらなくなりますか+
いりません、とは言えません。スキャナが出すのは座標を持った点の集まりで、どこからどこまでが壁で柱なのかという意味づけは持っていません。寸法を読み取る、納まりを目で確かめる、といった用途なら点群のままで足りますが、施工図や申請図として使うには、点群を下敷きにモデルや図面を起こす作業が別に必要です。図面がない建物では、スキャンが図面づくりの出発点になる、という関係だと考えてください。
QスマートフォンのLiDARで代用できませんか+
用途次第です。一室の現況をおおまかに押さえる、搬入経路の幅を確認する、といった社内向けの使い方なら十分に役立ちます。ただし国土交通省の要領では、出来形管理に使う機器に測定範囲内で±20mm以内の精度と、その確認試験の記録が求められます。手軽な機器で取ったデータをそのまま検査の根拠にできるとは考えないでください。何に使うデータなのかで線を引くのが安全です。
Q据置型とハンディ型はどちらを選べばよいですか+
求める精度で分かれます。実測の報告では、歩行式のモバイル機は公称精度3cm、地上型レーザスキャナの誤差は2mm程度とされており、桁が一つ違います。cm単位で足りる現況把握や、据置型を置けない狭い場所ならハンディ型、検査の根拠や据付の精度が要る計測なら据置型です。両方を使い、狭い場所や死角だけをハンディ型で補って合成する、という組み合わせ方も実際に行われています。
Qスキャンにはどれくらい時間がかかりますか+
範囲と方式によります。報告されている例では、歩行式で道路沿い片道220mの往復が13分、ビルのエントランスと階段部4階までが6分でした。据置型は1か所を数分で測れますが、死角を埋めるために位置を変えて何度も据える必要があり、同じ範囲で5か所程度の切り回しと約1時間を要したとされています。ただし現地の時間より、ノイズ除去や座標付けといった事務所での後処理のほうが長くかかる点に注意してください。
Q自社で買うのと外注するのはどちらが得ですか+
出番の回数で決まります。業務用の機器は300〜1,000万円以上という価格帯が示されており、さらにソフトのライセンス、消耗品、保守・サポート、研修が加わります。年に数回なら外注、毎月の管理や検査に組み込めるなら内製化の検討が現実的です。判断に迷う段階なら、まず一件だけ外注してデータの使い勝手と後処理の重さを体感してから決めてください。
関連用語
点群データ
3Dスキャナが出力する、座標を持った点の集まり。取得後の処理や公共工事での点密度の基準はこちらで解説しています。
詳しく見る →ドローン測量
上空から広い範囲を一度に計測する手法。屋外の地形が主戦場なら、地上のスキャナより先に検討したい選択肢です。
詳しく見る →i-Construction
測量から検査までの全工程に3次元データとICTを取り入れる国土交通省の取り組み。要領類の背景にある枠組みです。
詳しく見る →BIM/CIM
建設事業の情報を3次元モデルとして統合管理する考え方。スキャンした現況の受け皿になります。
詳しく見る →干渉チェック
モデル上で部材や設備のぶつかりを事前に見つける作業。既存建物のスキャンデータと新設モデルを重ねる使い方があります。
詳しく見る →デジタルツイン
現場のデータからデジタル空間に同じものをつくる仕組み。3Dスキャナはその入口にあたる計測手段です。
詳しく見る →出典・参考
国土交通省「地上型レーザースキャナーを用いた出来形管理要領(土工編)(案)」平成29年3月
https://www.hrr.mlit.go.jp/gijyutu/i_Construction/youryou_kijun/11kisaikensa/11_2_reza_dekidaka_doko.pdf
出典を開く →建設コンサルタンツ協会「SLAM技術を利用したモバイル3Dスキャナ活用による調査・計測の効率化」(四電技術コンサルタント)
https://www.jcca.or.jp/files/achievement/hokoku_etc/r01gyomukenkyu/3-2.pdf
出典を開く →ライカジオシステムズ 導入事例「人が入り込めない狭い天井裏でも『工事前の3Dスキャン』に成功」(東洋熱工業株式会社)
https://leica-geosystems.com/ja-jp/case-studies/reality-capture/jp-tonets-blk360-case-study
出典を開く →国土地理院「LidarSLAM技術を用いた公共測量マニュアル」
https://www.gsi.go.jp/gijyutukanri/gijyutukanri41024.html
出典を開く →クモノスコーポレーション「3Dレーザースキャナの基本原理とは?種類や測定方法を徹底解説」
https://kumonos.co.jp/media/3d-laser-scanner-basic-principle/
出典を開く →クモノスコーポレーション「【種類別】3Dレーザースキャナの価格相場|導入コストや選び方も解説」
https://kumonos.co.jp/media/3d-laser-scanner-price-cost/
出典を開く →